2012 BRM707 埼玉 600 アタック磐梯山

Challenging brevet 2012 BRM707 Saitama 600 attack Bandaisan, by SHIBATA Akira
作成 2012/07/20 随時更新
ゴミ袋で臨時輪行

はじめに

当方はロードバイクを持っていないが、 2010 年2011 年CX900 というシクロクロス用自転車で、一応 SR (SuperRandonneur) という、 200km,300km,400km,600km を制限時間内に走りきった人の称号を当方も自称できるようになった。  世の中には、マウンテンバイクやママチャリでブルベに参加する人もいるのだから、「ロードバイクでないから走れない」なんてことを抜かしてられない。 

今回は、四ヶ月のブランクの後にブルベで、「ふっ、オレってブランクをものともせず 600km も走って、結構スゲーじゃん」と言いたかった。  どんだけスゲーのかスゲーくないのか、とりあえずやってみるしかないわけだ。 

具体的方法

対策・装備についてはすべて前回並み。 結果は後述。 

装備

今回は装備表を別に作成したので、それに準じて装備した。  四ヶ月間自転車を放置していたので、チェーンに油を差すとか、タイヤに空気をいれたとかその程度で、 特に準備するものもなく、前回と同じなのだ。 

2012/07/07 自転車全体
自転車全体

パンクも、ささっとタイヤ外してチューブ変えればいいハズだからその関係の装備は空気入れだけでいいハズ。  一応チューブもパンク修理セットも空気入れも持っているがブルベ中はパンクしたことがない。 

身体の保温

今回は夏とはいえ北方に向かうわけで夜間はそれなりに気温が低いことが予想される。  とはいえ氷点下になることは考えられないから、風除けだけでいいだろう。  ということから、いつものヤッケで十分と考えて背中にねじ込んでスタートすることとした。 

使いたくない備え

他には順調なら使わないカード類だ。  クレジットカード、スイカ、運転免許証、健康保険証だ。  どうしても金が必要になったとき、あるいはハネられて病院に担ぎ込まれたとき、あらゆる場面で金と金を出すことができるもの、そして身元を明らかにできるもの、医療対策ってなところだろうか。 

カード類

コース

下の図のように走るわけだ。  今回の目標は完走。  とにかく走りきれればいい。  だから、出力は基本的には 130W をメドとして、その近辺程度でしか走らないようにする。  脚がタレて出力が上がらなくなったら、それなりに走ろうと思った。 

コース図

結果

スタートより 184km の那須付近で、 DNF 途中リタイヤを決断した。  原因はケツ。  いままでさんざっぱら乗ってきたサドルが合わなくなったのか、痛くてあと 400km は乗れないと思った。  すでに 500km 走っていたなら、苦悶しながらでも 100km をどうにかこなせるとは思ったが、 400km 以上の残りはこなせないと思い決断した。  過去のケツ痛としてはInterMax 号を借りた 2010 年の「 BRM1002 埼玉 600 アタック日本海」が当方の中では代表的だ。  ソの時は 300km くらいあたりからケツ痛いな〜と思ったくらいで、残り 100km のころは、ケツが痛くて精神的に死んでいた。  しかし、救世主が現れて、走りきることができた。 

今回は痛みはソの時よりは少し小さかったが、その差分 300km を埋めるような走りはできないと判断して勇気ある撤退を決断した。  終電に間に合わないと、ソレはそれでツラいからね。 

以下はイイワケ。 

全体の概略

下は時間を主軸にしたグラフだ。  PC2 を出て、ジャージを脱ぐくらいまでは、ケツが痛い以外は概ねもくろみ通りのパワーもでていた。 

時間主軸の出力グラフ

しかし、ケツが痛くて、最後のほうなどパワーも出せなくなっている。  まぁ、立ち漕ぎをすることもできるくらいには脚は残っていたが尻が痛いとちゃんと漕げなかったのだ。  詳細は下の通り。 

当日スタート前

今回は朝食にヤマザキの薄皮つぶあんぱんを食べた。  毎日昼飯にと一年で 300 以上は食べていそうな気がする。  とりあえず、食べてシャワー浴びてボトルに水を詰めて出発だ。 

スタート地点である日高市の巾着田まではだらだら漕いでおよそ 15 分、ウォーミングアップにもならないが、ブレーキの効きや引きずりがないか、ギアチェンジできるかどうか、タイヤの異変などの確認には十分な道のりだ。 

2012/07/07-05:41 ブリーフィングの様子
ブリーフィング中

今回は雨中サイクリングになるだろうか? それとも霧の中の霧中サイクリングになるだろうか? はたまたピーカンの太陽の下の灼熱サイクリングになるだろうか? 当方のナマクラ脚はどれくらい動いてくれるだろうか? などなどいろんなチャレンジとしてのブルベだ。 

スタートから PC1 (約 76km ) まで

最初はほとんど平坦な道路で、この季節晴れると猛烈に暑くなるが、東北の夜間は寒いからこの辺の調整というか涼しいうちにどれくらい進めるかなーと漕ぎ漕ぎした。  だから天気は曇りで非常に走りやすいなぁと思いながら、 130W 目安に走った。 

2012/07/07 07:17 抜かれざまに勝手連結して寄生走行
追いつかれてしばらく後ろを走った

スタートから 45km くらいで利根川を渡るが、大きなかばんをつけた方に抜かれた。  あぁ、当方も二年前は大きなのをつけていたっけ。  だけど、当方の場合は貧脚なので重量増のデメリットのほうが大きくて昨年から外してブルベにでてるんだっけなぁと思ったわ。 

2012/07/07 07:47 利根川を渡る昭和橋付近
利根川を越える

もうちょっと走ると PC1 なのに、ハラが減ってきた、ヤバい! ハンガーノックの兆候だ。  急いで自販機でファンタグレープを買って飲み干した。  これで約 220kcal ほど補充できたから PC1 までモツかなぁと思った。  脚が回復するまでーと思いながらタラタラ漕いでいたら、後ろからかなりの速度差で近づく列車があった。  抜かれるときに、「おお!このかたがたの後姿は見覚えがある、何度か無賃乗車させてもらった!」と思った。  が、今日は脚が回復しても、そんな速度差についていけるわけもなく見送った。  抜かれてすぐに偶然にも信号があったので撮影できた。  昨年はこんな方々と一緒に走れるくらいパワーがあったのねーと、ちょっとしんみりした。 

2012/07/07 08:36 見覚えのある方々の列車
見たことのある方々の列車

目標 130W だとどれくらい遅くなるか結構興味があったが、平地なら平均速度は 25km/h 近くになるんだなぁとわかった。  信号があるからこんな感じだが、上り坂は置いといて夜間の信号で引っかからなくなったときにも 130W をキープできれば結構なペースで進めるんだということがわかった。  道のりとして全体の 1/8 の行程を走ったわけで、身体のあちこちのダメージを検討した。  まず当方の弱点である左膝と貧弱な脚力は 1/8 よりも消耗している気がするが、いつもボロボロになるのでこの程度なら問題ないと思った。  あとは腕だが、コレも特に問題ないように思った。  他に身体には特に違和感もなく順調に感じた。 

2012/07/07 09:12 PC1 到着
PC1 の写真

PC1 から PC2 (約 148km ) まで

ここの PC 間は約 72km で、時間帯的にも PC2 到着ごろにお昼になるだろう。  しかしハンガーノックになりかかったので、ちょっとガッツり目に食べた。  もっちり揚げあんぱんだけは途中で食べようと背中のポケットに突っ込んだ(結果的には電車待ちのホームで食べたのだけど)のだった。 

2012/07/07 PC1 ではちょっと多めに食べた
多めに補給

弁当と焼きそばパンをもりもり食べているときに小雨のなかそばにいた人が取材を受けていた。  なんでも 9 月にブルベの本を出すとかで、その取材らしい。  当方も取材を受けちゃった。  ハンドルのところを見て、コマ図スクローラの写真を撮っていた。  実はブルベスペシャル仕様は後輪にあったのだけどねー。  そう、パワータップで目標出力を決めて、かつ前 28T なのに、後ろも 28T というギア比 1 を達成するローギアとあわせて踏破性は高いと思うんだよな。  といいつつ、 DNF リタイヤしてりゃ、説得力ないな。 

2012/07/07 PC1 で取材を受けている方
PC1 で取材を受けている方

PC1 を出て、アップダウンが始まった。  ここで変調が出た。  そう、尻がスレてる感じだ。  CX900 のサドルは大きくてフカフカでとてもすわり心地が良い。  過去のブルベでも擦れて痛くなったことはあるが、大きく取り上げるほどになったことはない。  っつうか、膝が痛かったのだよ。  InterMax 号を借りた 2010 年の「 BRM1002 埼玉 600 アタック日本海」では硬い小さなサドルで 300km 過ぎから痛くなり始めて 500km 過ぎたあたりではどうしようか?と泣きそうなくらい痛かった。  でも、借り物の自転車のサドルだったし、 CX900 のサドルではこんなことになったことがなかった。  ソコへ、吉野家が見えたので、尻を休めつつ、早お昼をいただいて補給しようと考えた。 

2012/07/07 11:16 吉野家の豚丼
豚丼

PC1 を出て、曇り空の下、時折小雨がぱらつくような中、豚丼を食べて出るとだんだん小雨がしっかりとした雨になった。  幸いにして、130W をメドとする当方はそれなりに漕いでいたので寒くもなく、気持ちよく漕ぐことができた。  ただし、尻は違和感を通り越して痛くなってきていた。  時々ポジションを替えて痛みを軽減しようとしたり、アタック三保の PC4 → PC5 の途中で、時々立ち漕ぎしたら腰の痛みが軽減したことがあった。  尻も何とかならんかなーとチャレンジしてみた。  というか、立ち漕ぎすると尻がサドルに当たらないので、尻は痛くなくなった。  あと 500km ずっと立ち漕ぎするならコレでもいいかも(笑)  なんてフラチなことを考えながら痛みに耐えていた。 

2012/07/07 12:50 小雨はだんだん強くなった
小雨はだんだん強くなった

雨はどんどん強くなり、下り坂では雨粒が顔に当たって結構痛かった。  しかし、川越のカニヤさんで購入した当方の度付きの透明レンズなサングラスはしっかりと目を保護してくれた。  視界はばっちり確保できていて車のしぶきも、自転車のタイヤの水の跳ね上げも良く見える。  目を開けておくことに、なんら不安はない。  やはり、いい物はいい♪  貴方が度付きのサングラスを必要としているなら、そして在住地域が関東近辺なら川越に出頭して作ってもらうことが、コレを読んだ貴方の利益につながると信じている。  しかしながら、当方のページを見て訪れたことを述べても、それは貴方の利益にはなんら寄与しないと思う。 

2012/07/07 13:26 PC2
PC2

PC2 に着くころには、大雨といっていいくらいの雨になっていた。  当方は早お昼のために、しっかり漕いでいられたので雨の中も寒くなく PC2 に到着できた。  ただ、「ケツが痛ぇ」と、半ベソかきそうな状態で PC2 に入った。 

PC2 から退却決断ポイント (約 184km ) まで

PC2 から PC3 まではほとんど曲がるところのない安心してどんどん進めるコースだ。  ずっと上り基調の後ちょいと下って PC3 ってな感じになるわけだ。  しかし、 PC2 で食べてるとスゴい雨だ。  駐車場の全体が水面で沸騰しているかのように泡立って見えるくらいの大雨だ。  食べてるうちに身体も冷えた。 

2012/07/07 PC2 では、弁当をシッカリいただいて、フルーツオレ
弁当とフルーツオレ

PC2 では食べ物以外にタオルを買ったが、それは 2010 年の「 BRM1002 埼玉 600 アタック日本海」で最後の通過チェックで雑巾を買って股間に雑巾を挟んだことを思い出したからだ。  アレで残りの 70km を何とか乗り切ったのだ。  今回の残りの 450km 何とかなりそうか、股間にタオルを押し込んでサドルにまたがる方策を実施してみることにした。 

大雨の PC2 、数人のブルベライダーは、ため息をついたり、出るのをためらっていた。  当方も思わず「どう…しよっかなー」と口をついた。  続けて「どうしようかなじゃなくて、いつ出ようかなって言わなくちゃですね」と言ったらちょっと笑いが取れた。 

2012/07/07 15:17 雨は上がった
雨は上がった

さて PC2 を出ようと思うが寒くなっていた。  漕いでいるうちに暑くなるのはわかっていたが、寒いのは嫌だ。  ということで PC2 でヤッケを着込んで出発した。  結構な雨だったが、前線によるものでブルベくらいの移動になれば当然雨のエリアを出れば雨は上がるのだ。  漕いで身体が温まるとすぐに暑くなる。  雨の中でヤッケは脱いだ。  その後も相変わらず曇っていたし、パラパラっとくることもあったが、このまま漕いでいれば高い湿度だが、汗で湿ってるんだか雨の湿りだかわからなくなるくらいまで乾くだろうと考えた。  まぁ、タオルをはさんだ股間からケツにかけては、はさむ前にくらべれば幾分マシにはなっていた。  しかし、とにかくケツが痛いことには変わりなく、どんどん悪くなっていった。 

2012/07/07 16:00 那須のセブンイレブン
那須のセブンイレブン

尻の痛みを堪えつつ、那須の看板を見て懐かしく思った。  当方がまだ幸せだったころ(笑)、この辺にキャンプに来たなぁと思い出した。  看板がこげ茶色と白で統一されていて統一感があるなぁと思ったものだった。  上の写真は基本カラーが白地に緑とオレンジと朱色なセブンイレブンだが、那須ではこのような配色になるわけだ。  まさに観光地ならではの配慮だと思う。 

池田交差点とそのすぐ先の交差点を続けてクランク状に曲がってちょっといったときにひらめいた。  「そうだ、今回は撤退しよう」 現在のケツの痛みでは走りきれないことは明白になった。  タオルを股間に挟んで、マシになったとはいえ、 400km を走りきれるとはとても思えない。  ずっとコンビニがなかったが、さっきのコンビニがあるってことは街が近いことが期待できる。  街があるってことは駅もありそうだ。  PC3 まで行って DNF を宣言しようと思ったが、決断は早いほうがいい。  ということで、セブンイレブンまで戻って DNF を宣言した。 

池田交差点のセブンイレブンから帰宅まで

16 時過ぎに DNF を宣言した。  当方のブルベは 10 時間で挑戦を終えた。  挑戦を終えたからといって、おうちに帰るまでがブルベであることには変わりない。  コンビニで一番近い駅を聞いたら黒田原駅という駅がソバの交差点を下っていったところにあるとのこと。  わりとラッキーだろう。  ということで、黒田原駅を目指した。 

もうね、一秒だってサドルに座りたくないもんだから、ずっと立ち漕ぎだったさ。  400km も漕ぐ必要もなく、あるものを全部だしても列車に乗れば、あとは乗り換えで自転車を運ぶだけだ。  っちゅうことで、まだまだ膝も脚も残っていたのでバヒバヒ漕いで駅まで行った。 

2012/07/07 18:00 Suica の外なので出発駅証明
出発駅証明書の写真

駅について気づいた。  輪行袋持ってくるの忘れた!  ということで、駅そばのスーパーでゴミ袋と紐とカッターとクラフトテープを購入して、他の乗客を汚さないようにカバーをかけた。  冒頭の写真はそういう写真だ。 

2012/07/07 19:55 宇都宮線にて
宇都宮線の宇都宮駅にて

黒田原からは、またちょっとしたジャーニーだった。  黒田原から黒磯駅で乗り換えて、黒磯駅から宇都宮駅へは一時間ちょっとかかった。  宇都宮線は当日信号機故障でダイヤがボロボロになっていて、いつ発車かわからんとかいうアナウンスが流れるくらいだった。  まぁ、それでも発車して、大宮駅で川越線に乗り、川越駅で八高線の拝島駅行きに乗った。  いつもは高麗川止まりでそこで乗り換えがもう一回あるが、ラッキーだった。  最終の一本前で帰ってきた。  2,940 円、約 6 時間(通常この行程は 3 時間程度)と、最後まで楽しめた。 

東飯能駅で自転車を組み立てて、自転車屋を除くと店長がいた。  「負けて帰ってきた」ことを述べて辞した。  ま、ダメなときはダメだもんね。 

帰宅後

当日

帰宅したら、荷物類をポケットからだして、ソッコーシャワーを浴びて、洗濯機に衣類を全部放り込んで洗った。  ハンガーにかけて干して寝た。 

身体は、ヒザやモモが少々痛いが 200km なりだろうと思う。  もし、走ることになって 600km モったかと聞かれれば多分 Yes 。  そう、自転車ジャージの下半身をはいてケツは平らな板のベンチに座ったときにクッションがシリに当たる感じ。  裸のケツでも腫れてそういう違和感がある。  シャワーでは沁みた。 

翌日

少々ヒザが痛むものの階段の上り下りも含めて特に問題なく生活できた。  ケツの腫れは依然としてあって、結局翌々日までは違和感があった。 

考察

今回の敗因はケツだ。  日差しもなく、気温はとても低くて、小雨もぱらつく天気は、暑いのに弱い当方としては絶好の好天だった。  四ヶ月間で一番ヤワになったのはケツだったといえよう。  脚はパワータップで出力を見ながら走ったおかげで 200km なりの疲労というかダメージはあったのだけど、あと 400km は何とか走れるんじゃないかという感じな気がした。  が、ケツはダメだった。  皮もちょっとムケてたっぽいし、腫れたし。  どうしてこんなにダメになったのかはわからない。  今まで CX900 のフカフカサドルは非常に良かったのに… 仕方ないからサドルを新調しないといかんのぅ。  サドルを選ぶいいアイデアがあったら教えてオクレ。 

でも、ハッキリ言って「修行不足」につきる。  修行して、出直す決心をした。 

結びに

長丁場のブルベを支えてくれているスタッフ、各列車の方々に感謝の念をささげる。 

思いつくところを追加してみたいと思う。  意見・感想も歓迎だ。 


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