三日物語:リカンベントバイク構築

Constructing a recumbent bicycle, by SHIBATA Akira
作成 2019/11/30

■ 警告

当方はリカンベント自転車を目にしたことがない。  映画『ブレインストーム 』にちょっと出てきていたような気がする程度だ。  しかし、世の中は進んでおり、検索エンジンで調べると写真は先人の情報がでてくる。  それらの情報を読むと、乗るのは難しいとか、自動車からの視認性に問題があるなどの情報がでてくる。  人体や人命に重大な危険を及ぼす恐れがあるので、マネして転んで怪我したとか、車に轢かれたなどの問題が起こっても当方は一切の補償をしないョ。  これを読んで自分で試して、当方に責任を転嫁するようなオコサマ(当方の定義では自身の行いについて責任をとれない者は何歳でもオコサマだ)が読むのは禁止だ。  最悪のパターンを考えると、自身が死んだり、後遺症を抱える羽目になったりするかもしれないからね。  当方はまとめておいて、後で自分の振り返りに使うことが多い。  また、警告をするとはいえ、もしかすると多少なりとも他人の参考にならんとも限らんので、恩返しの意味をこめてネットにあげるのだ。 

人体や人命に重大な危険を及ぼす恐れアリ オコサマ禁止

■ はじめに

今回 BacchettaCarbon Aero 3.0 Performance Recumbent Bike (以下、時に応じて CA3.0 と省略)のフレームセット+αを、日本の代理店の HC WORKS というお店を通じて購入し、ブルべ対応を目的にギア等をサイクルハウスミカミというお店で組んでもらった。  以下、その顛末だ。 

ダメージ少なくブルべを完走したい

当方は 2010 年からブルべに出走するようになったのであるが、もうね、 600㎞ 走ると尻が痛くて大変だった。  アリがちなパターンは、サドルの後縁から側縁あたり、尻の肌が痛めつけられて、皮がむけるのだ。  痛いのはシャワーを浴びたときや不意に何かが尻にあたったときで、まぁ皮膚の痛みだから大したことないといえばその通りだ。  だが、仕事は事務仕事主体なので、座ってると体液(リンパ液?)がパンツやズボンにしみて、それが乾燥して貼りつくんだな。  立ち上がったときにそれがバリっとはがれて、ちょっと痛かったりするし、何よりお尻にそういうシミができて、会社の人に「痛そう」と思われるのがツラかった。  で、対策として、皮膚が破れるところに、キネシオテープを貼って皮膚の代りにこすれてもらおうとやってみたら結構いい感じで、その後は長距離のツーリングの時なども貼るようにしたのだった。 

さて、偶然だが、ある時リカンベント自転車はラクだという記事を読んで、よく見ればサドルじゃなくて、大きなシートに座っている→おそらく尻のダメージが小さいだろうと思うようになった。  上述のように、当方はリカンベント自転車を直接に目にしたことがない。  当然乗ったこともない。  が、あちこちのページを拾い読みすると、本当かどうかはわからないが、「乗るのがラク」「空気抵抗が小さい」「速い」などの情報がでてくる。  過去にいくつかのブルべに参加し、そのたびに当方は「キツい」「尻が痛い」と泣き言をタレている。  また、ラクをするために、空気抵抗を減らすことを目的に、下ハンを握って、かなり伏せこんだ姿勢をとっている。  当方の泣き言や姿勢の目的を考えると、「実は当方にリカンベント自転車は向いているんじゃね?」という気になった。 

そんな気になって、一年ほど、たまたま目にしたソレ。 意を決して hig さんの日記の、2019年06月10日 23時09分投稿:「リカンベント前シフトワイヤー交換」のコメント欄でギア比について質問してみたところから、事態は動き出した。 

■ 実現への道

当方は下のように考えたが、参考になるサイト( Best Recumbent Bike )の紹介があった。 英語であるが、翻訳するなりして読んでみると参考になると思うので、日本語話者であっても見てみると良いだろう。

もともとはシクロクロス用自転車な CX900 (空虚重量 13kg でブルべ出走時 17㎏ くらい)でブルべにでて、 200km ~ 600㎞ を何度も完走していた。  また、短距離(といっても 50㎞ ~ 100㎞ 程度)用ロード自転車でも、 600㎞ のブルべに参加して、完走できたことから、いわゆる普通の形の自転車で、尻が痛いとか、気持ち悪いなどのダメージを受けても、多くの場合、完走できることはわかっている。  リカンベント自転車での走行はラクらしいので、長距離に向くとも記述があるので、主な走行目的をブルべ完走として構築したいと考えた。  ブルべ走行は、昼・夜のみならず、雨・風・雪などあらゆる時間帯、あらゆる気象条件で走行が求められるところの一つの完結した自転車乗りとしての理想を実現しないといけないともいえる。 

ネットで見るとクランクを回すために体重を使えないリカンベント自転車はとても登りに弱いと言われている。  そうなると最小ギア比は重要であるわけだが、それは骨身にしみて知っている。  ブルべでも今ならたいていの坂は漕いで登れるけど、昔はかなり押して登った苦い記憶がある。  本当にあちこちの坂で押した、日光で、ビーフラインで、須坂市で菅平に上がるとき、静岡県は愛鷹山付近の登りで、 SPD シューズだから、押し歩きはしやすい(笑)けど、自転車は押すものではなく、乗るものだ。  あるとき乙女ギア(リア 26T より大きいギア)な、リアに 28T が最大のギアカセットを入れた(ちなみに当時のフロント最小は 28T なのでギア比 1.0 )ら押しを入れることがなくなり、「ギア比チョー大切」と思い知ったのだ。  そんなわけで、 hig さんの 2019年06月10日 23時09分投稿:「リカンベント前シフトワイヤー交換」のコメント欄でギア比を聞くと、「42,32,22x32-12の3x8速」ということで、 0.6875 が最小で、 3.5 が最大のようだ。  曰く「ちょっとした直線でもトップを使いきってしまいます」とのことで、「おかげでロー側は林道の激坂でも慣れればゆっくり歩くようなスピードでも乗れます」ともおっしゃっているから、この辺りを参考にギア比を考えた。 

形の選択

過去のブルべで問題になった「尻が痛い」はリカンベント自転車の大きなシートで解決すると期待され、きっと導入するだけで問題は解決だ。  しかしながら、どういうリカンベントに乗るかは、それなりに大きな問題である。  ローレーサーと呼ばれる車高の低いモノからハイレーサーと呼ばれる車高の高いモノまであり、さらにリカンベント自転車も二輪と三輪があるから、車高と車輪の数から組み合わせは、大まかに車高 3 通り×車輪数 2 通りの計 6 通りとなる。 

このうち三輪のモノは、座ったまま休めるとか、そのまま眠れるという話や、(三輪なのであたりまえだが)転ばないという記述が見られ、これは大きなメリットと考えられる。  ただ、三輪のモノはローレーサータイプのみ存在するようだったから、組み合わせは少し減った。  また、幅がそれなりにあるために、時折存在する車止めの隙間を通過できない可能性がある。 

では二輪のリカンベント自転車はどうか、二輪なだけに転ぶが、三輪のモノよりも細いハズであるから、たぶん(まれに通る必要性の出る)車止めの隙間は通過できよう。  また、ローレーサーからハイレーサーまで、さまざまな高さのモノもある。  検討の俎上にのったものを下に記述しよう。 
リカンベントの種類メリットデメリット
二輪ハイレーサー自動車からの被視認性が高い重心が高く不安定っぽい
二輪ミッドレーサーハイレーサーとローレーサーの中間ハイレーサーとローレーサーの中間
二輪ローレーサー空気抵抗が最も小さいらしい自動車からの被視認性が低い
サイズが普通自転車の枠に収まらない恐れが高い
三輪ローレーサー空気抵抗は小さく転ばない
乗ったまま寝られるらしい
自動車からの被視認性が低い
サイズが普通自転車の枠に収まらない恐れが高い

当方は自動車にはねられたことが過去に五回ほどあるので、自動車からの視認性を第一にして、ハイレーサーを第一候補にした。  必然的に三輪は選択外になった。  あとは、チタンとかカーボンとかクロモリとかいろんな素材があって、何を選ぶかということに尽きた。  当方は基本的に金属に全幅の信頼を寄せており、カーボンについては懐疑的な態度をとっている。  しかし、ロード自転車のフロントフォークがカーボン製なので、約二年ほど乗って、摺動部以外ならカーボンも悪くないと思うようになっており、初めてカーボン製フレームを導入も容認状態になった。 

ネットを徘徊し検討してみて、当方が求めたことに最も合致するのは、ハイレーサーで長距離をより早くということがわかった。  長距離が早いということは、身体に負担が少ない=ラクであることも想像できたのだ。  発見したのは CA3.0 ( Carbon Aero 3.0 Performance Recumbent Bike )だ。  見ると、直系の先祖?である CA1.0 や CA2.0 に乗った人たちがレース・アクロス・アメリカで好成績を残しているようだ。  レース・アクロス・アメリカはブルべよりもさらに過酷で約 5,000㎞ のタイムトライアルレースらしいから、身体もそうだが、高速巡行ができる車体であることが求められよう。  その点からも、当方の求めるモノである。 

ここまでをまとめると、リカンベント自転車として当方が希望する仕様は下の通りだ。 
仕様理由備考
二輪であること車止めの隙間も通れることを希望三輪だと乗ったまま寝られそうなのはちょっと心残りだ(笑
ハイレーサーであること自動車からの視認を求める自動車にはねられたことが複数回ある
700c ホイール使用可能な事互換性が高ければトータルで安上がりだろう所有しているパワータップを使用可能であることも望んだ

発注

完成車の価格は 2019 年 11 月現在で $4,400 (参考に円に直してみると 522,720 円 : $108/円 、消費税 10% 、輸送費等抜き)程度と、まぁ、それなりだ。  下に、仕様を引用する。  気になったのは変速機関連で、Gear Range 25-124 というところ、そして Rear Derail SRAM GX 11 Spd. と Front Derail SRAM Rival 22 YAW, 11 Spd. というあたりか。  要は、ギアの比は 124 ÷ 25 で 4.96 倍、想像で後ろは 11 、前は 48 とすると最小ギア比は 0.88 くらいになりそうだ。 

項目内容
ModelCarbon Aero 3.0
Designed ByRich Pinto
Classperformance
Frame700c Bacchetta Custom Carbon 3.0
ForkBacchetta Full Carbon Johnson, w/ 1-1/8" Carbon Steer, Disc Brake Compatible
SeatCarbon w/Bacchetta Seat Stay Clamps
HandlebarBacchetta AERO- 300mm Reach
StemBacchetta “3piece Stiffy” Riser w/BFT
Rear DerailSRAM GX 11 Spd.
Front DerailSRAM Rival 22 YAW, 11 Spd.
ShiftersSRAM GX GripShift 2x11
CranksetSRAM Force 22 Carbon Double
Bottom BracketSRAM GXP, 68mm, English
HeadsetFSA Orbit-X, 1-1/8"
CassetteN/A
Front BrakeX-eyed CNC Dual Pivot Road
Rear BrakeX-eyed CNC Dual Pivot Road
Brake LeversTEKTRO Eclipse
Front WheelVuelta Corsa Lite, 700c Disc
Rear WheelVuelta Corsa Lite, 700c Disc
Front TireKenda Kaliente L3R Pro, 700x23c
Rear TireKenda Kaliente L3R Pro, 700x23c
ChainSRAM PC1130 11 spd.
PedalsWellgo LU 897 Platform
BB Height32"
Seat Height24"
WheelbaseStandard frame: 46”, Large frame: 47”
Weight21 lbs. 6 oz. w/out Pedals (24 lbs w/disc brakes and aero Tweener stiffy. 24 lbs. 7oz. w/B-Pivot)
Weight Limit250 lbs.* (*Rider and Gear Makes Up Weight Limit Total)
Gear Range25-124
ColorPearl Blue
Frame SizeStandard: 12.5" Boom, Large: 14" boom
X SeamStandard: 37"-46", Large: 41"-50"
MSRP$4400

hig さんのギアは最小 0.6785 だから、計算して予想されるギア比 0.88 とは結構差があることがわかる。  そこで、考えてみた。  当方が使用しているシクロクロス用自転車はずっとブルべにも使っていて、チェンリングは株式会社スギノエンジニアリングの ALPINA2 Triple は 48-36-26T だ。  後ろをシマノ RD-R3000-GS にすると、 34-11T が組める。  ギア比でいくと、0.765 ~ 4.364 となり、 5.71 倍と SRAM を使ったオリジナルよりもおそらく最小ギア比も小さく、大きな倍率が得られることが分かった。  これならば、 hig さんのギアまでは届かないが、オリジナルよりもキツい坂も登れて、高速なほうも足りないということはないだろうと期待できそうだ。 

そんなわけで、フレームだけを発注する決心がついて、入手方法を探るべく Bacchetta のホームページを眺めていると、日本の代理店が HC WORKS というお店であることがわかった。  Google 翻訳を駆使して、 Bacchetta に日本の代理店から買った方が良いか確認するとその通りということで、 HC WORKS さんに連絡を取って発注手続きを取った。 

完成車を買って、ギアコンポーネントを交換という手もあるが、ハッキリ言って無駄だ。  だったら、リカンベント自転車に固有の部品、フレームやシートだけを入手して、一般部品は日本国内で収集すれば構築可能だと考えられる。  ハイレーサーを選んだのは 700c のホイールをつけられることも前提にできるため、いわゆるロード自転車の部品も互換性が期待できることも選定理由の一つだ。 

発注は、振り込みをもって正式発注とのことで、 2019/6/14 の夜にネットバンキングで振り込み作業を行った。  どういう状態であるかなどは HC WORKS さんが適宜情報を流してくださり、安心して待っていた。  2019/7/7 の夜、仕事から帰宅するとブツが届いていた。 

リカンベント自転車としての特殊部品のみの発注としたかった。  発注は下を部品として購入(お値段は発注時 2019 年 6 月時点)した。  なお、 BFT とフロントブレーキは HC WORKS さんの指摘で追加したものだ。  おかげで無駄な時間を過ごすことなく、発注はスムーズに済んだ。 
部品名お値段備考
CarbonAero 3.0$1,900今回のフレーム
Seats: Carbon$450
Forks: Carbon aero blade w/carbon 1 1/8”$300
BFT$25 HC WORKS さんの解説
ヘッドパーツに圧をかける為のものです。 ロードバイクのようにステムの上からボルトでフォークを引き上げることができない構造なのでこれが必要になります。 
X-eyed フロントブレーキ CA3.0純正$100 HC WORKS さんの解説
下引き前ブレーキ・・・通常のブレーキを装着すると、ワイヤーがチェーン側を通ります。 ワイヤーの取り回しが逆でかつ下引きのタイプが必要になります。 
当方の、構想のモレというか特殊部品を的確に指摘し、オススメしてくださった HC WORKS さんの慧眼には非常に感謝している。 

希望最終仕様は上記のフレームセット+αに加えてこんな感じだ。 
仕様理由備考
チェンリングは株式会社スギノエンジニアリングの ALPINA2 Triple現在考えうる最も大きな変速比を実現48-36-26T
ギアカセットはシマノ RD-R3000-GS現在考えうる最も大きな変速比を実現9s/34-11T
前輪はWH-RS81-C50-CL-F一番の理由はアリモノ、自分ですでに所有しているから空気抵抗小さく、カーボンホイールだがアルミコンポジットなのでブレーキがあたる摺動部はアルミで当方にとっては安心できる
なお、シクロクロス自転車に取り付けて平均速度がちょっぴり上がって、効率はあまり悪くならなかった実績がある
パワータップ付きの後輪アリモノではあるが、ブルべでは出力管理が重要で、また情報収集と集積のため当方のブルべを完走できる要因の 70% くらいを占めると言っても過言ではない

■ パーツ到着

さて、構想は発注後にも考えたことが混ざってるが、発注は 6/14 の夜にインターネットバンキングで振り込み作業を行って発注した。  イタリアとか、フランスとかのフレームが到着するのが、半年待ちとか 10 か月待ちみたいなのをよく聞いたわけなので、年末に組み上げができるといいなぁと思っていた。 

が、文句いうスジアイじゃないけど、早いよ!  年末どころか、三週間で到着だ。  品物は二回に分けて発送されたが、先着は 7/5 、後着は 7/7 に当方に到着した。  すぐに組み上げたいところだが、フトコロ具合が追いつかない(要するに自分でカスタマイズする部品を発注して、到着してもお金払えないよ)から、しばらく室内で寝かすことにした。 

パーツ

ただ寝かすのももったいないし、記録しておこうと写真を撮ったのが下の写真だ。  サイズ比較に、前輪( 700c )を置いたりしてみた。  これら以外は、だいたい普通のロード自転車のパーツが流用できると考えて良いだろう。  画像をクリックするとフルサイズの画像が見られるハズだ。 
写真説明
二回に分かれて届いたので、二箱だ。 長いほうの箱はフレームが入っているので、あまり重くないが 150cm くらいあるぞ
後着の小さいほうの箱を開けた。 ハンドルとシートが入っていた
シートの座面アップ。 でかいがカーボン製らしく、軽い。 
シートの横からアップ。 強度を稼ぐためにリブが入っている。 
シートの裏からアップ。 ステーがついているのが見える。 
シートとシートに敷くスポンジ(長いほうの箱に入っていた)を並べてみた。 
先着の長いほうの箱に入っていたモノだ。 左上から時計回りに、シートに敷くスポンジ、フロントフォーク、細かい部品が入った袋、サイズ比較用の 700c ホイール、青い棒がリカンベントフレームだ。 
リカンベントフレーム後端。 保護用のプラスチック部品がハマってる。  向かって左側フォークの先端に二つ穴が開いていて、ディスクブレーキが取り付けられるようになっている。 
リカンベントフレームのリアフォークだ。 手前側の腕の上にはシフトワイヤー用のガイドがくっついてる。 
リカンベントフレーム中央付近。 上側についている板がシートを載せる部分。 脚の長さによって、脚が短いと前の方(写真では右方)に寄せ、長いと後ろの方に寄せるかという調整ができるようだ。 また、丸い部品はアイドラプーリーというそうで、長いチェーンをひっかけて、不安定にブラブラさせないようにするようだ。 
リカンベントフレーム中央よりやや前方付近。 フロントフォークを挿す穴が開いている。 この下に前輪がつくわけで、太いフレームが干渉して、普通のキャリパーブレーキは上にひくワイヤーが干渉するらしい。 
リカンベントフレーム最先端。 横から見える穴は BB が取り付けられる穴だ。 上にでた棒は、フロントディレイラーを取り付ける棒だが、前照灯をつける土台にも使える。 
フロントフォーク、前から。 
フロントフォーク、後ろから。 
内容物全部とサイズ比較用 700c ホイール
シートとスポンジ。 シートは横幅 22cm 程度。 スポンジの長さは 55cm 程度。 
シートステーネジの座面側。 
シートの位置固定用ネジの座面側。 
シートの背面側で、ステーがついている。 
シートの背面側で、位置固定ネジがついている。 
リカンベントフレームのシート取付版とアイドラプーリー。 アイドラプーリーはチェーンの往路用と復路用に二本のミゾがある。 
フロントフォーク用の穴だが、アルミが内側に使われている。 
リカンベントフレームを裏返してアイドラプーリーを目立つようにしたところ。 チェーンハズレを防ぐために金属の板がつけられている。 
リカンベントフレームを裏返してリアフォーク根本を見ると、後輪用キャリパーブレーキを取り付ける穴があいている。 
リアフォーク後端を裏返したところ。 正立状態で、手前の腕が左側。 
リアフォーク後端を裏返したところ。 正立状態で、手前の腕が右側。 
リアフォーク後端を裏返したところでプラスチック部品を外したところ。 正立状態で、手前の腕が左側。 
リアフォーク後端を裏返したところでプラスチック部品を外したところ。 正立状態で、手前の腕が右側。 
リカンベントフレーム最先端を裏返したところでクランクがつくところで、二次元バーコードがついてた。 
付属部品一式。 左上から時計回りに……
  • ハンドルの高さ調節に使う部品だと思う
  • ハンドルの高さ調節に使う部品だと思う
  • ハンドルの高さ調節に使う部品だと思う
  • 予備のディレイラーハンガーだと思ったら、違っていて、ハブのエンド幅 130mm 用の部品だった(★後述)
  • 下引きキャリパーブレーキで、普通はブレーキワイヤーは上に出るけど、これは下に引っ張るようにできている
  • ハテ?どこに使われてる部品だったかな(笑
  • シートステーを固定する部品。 
  • シートステーの下側部
  • ハンドルポスト長さが調整できるようになっているみたい
  • ハンドルポスト長さが調整できるようになっているみたい
  • ハンドルステム

■ パーツ組付け

パーツと一緒に、印刷されたマニュアルが付いていた。  インターネット上にも同じモノがある。  ステアリングハンドルの部分の説明に HC WORKS さんが付箋をつけてくれていて、注意点を書いてくれた。  が、ちっともわからん(笑

パーツ

ということで当方はこんな時にも出入りしていて、信頼の置けるところの自転車屋さんであるサイクルハウスミカミへ泣きついて、パーツの相談(当然発注もする)とかをしつつ、組み上げをお願いした。  マニュアルの当該部分を見せると、ふむふむとか言いながら、カチャカチャと組めるんだな。  きっと自転車屋さんならではというか、プロだから見りゃわかるんだろうな。  下の写真はサイクルハウスミカミへ持ち込んだ時の写真。 

それと、リカンベント自転車はその構造上、チェンリング(ペダルで回す、前側の歯車)が最も前方に突き出した状態になる。  これって、なんか怖いよね。  アウターリング(一番大きい歯車)にチェーンが入っていれば歯車のとんがったところはチェーンで埋められているが、小さいほうの歯車にチェーンが入っているとアウターリングは歯車むき出しで刺さりそうだ。  そんなわけで、カバーを探したのだが、日本では見つけられない。  仕方ないので、米国の amazon で見つけたところの SKS bike chain tool chainboard hub gear ならイケそうだということで購入したものが下の写真だ。  一応 48T が最大らしく、偶然にも当方のチェンリングのアウターリングが 48T で問題ないことがわかった。  ちなみに 9 速のトリプルギアでもちゃんとハマった。  作業したのはサイクルハウスミカミの店長だが……

で、発覚したのが、リアフォークの幅が 135mm であること。  提案されたのは、リアホイールは持ち込みのパワータップをつけたホイールをばらして、カーボンディープリムにするのはどうかとのこと。  パワータップはアダプタをつけることで 135mm に対応ができるらしい。 

なかなか良い案だと思った。  しかし、当方は摺動部にカーボン部品をつけることにはまだ踏み切れない。  それだったら、ディスクブレーキタイプのパワータップをつけて、カーボンディープリムにしたいと申し述べた。  今度は、パワータップの日本の代理店が変わるという話で、それの納期が見えないという話になってしまった。 

で、結局サイクルハウスミカミの店長が、発見したのだが、当方が「予備のディレイラーハンガーだと思っていた」部品(上の写真の一番下の写真で、説明に★をつけた)が、実は 130mm ハブ用のアダプタというか、もともとついていたディレイラーハンガーよりも左右が内側に 2.5mm づつ出っ張っている部品だったのだ。  これで、従来のパワータップハブが使えることになった。 

で、まぁ問題がすべて解消したということで、実際に組んでもらった。 

■ 第一次完成

そんなこんなで、まず組みあがった状態になった。  最後の調整をしてもらって、店の裏で乗ってみたら、乗れるじゃない!  しかも、結構ラクかも。  ということで、希望通りの感じ。  ただし、漕ぎだしに決心が必要で、どこに行くかよくわからない感じ。 

で、サイクルハウスミカミ(埼玉県)から自宅(神奈川県)へ持って帰るわけなんだが、当方、軽自動車に積んで帰るので、積んでみたら、デカいんだな。  後ろはギリギリで、前へもこれくらいに出っ張ってくるのだ。  ま、とりあえず載せて帰ったよ。 

第一次完成状態の詳細

では、持ち帰った自転車を細かく見ていこう。 

写真説明
まずは全体だ。 見ての通り、チェーンラインがとても長い。 二本半の長さだ。 いいかえれば 2.5 倍持つハズともいえる。 また、ホイールベースがかなり長いことも見て取れる。 シートよりも下の方には太いものがほとんどなく、空気抵抗が小さいことが期待できる。 
リアディレイラーは SORA で、 9 速だ。 ギア比がクロスしている必要性はあまりなく、ギアにワイドレンジを求めると SORA ということになって、 34T-11T が使える。 なお、このギアカセットはサイクルハウスミカミで XTR が 9 速だった時代のモノがあったとのことで、チタン製!のギアが入っている。 (当方チタン大好きなのだ)
チェンリング右側から。 ほら、歯車の前にガードがあって、歩行者とかに脅威を与えないようにハマってるでしょ? こちらは 48T-36T-26T ということで、後ろと合わせてとても小さいギア比が得られる組み合わせになった。 
チェンリング左前方から。 ガードを前方から見るとしっかり歯車から歩行者を守れるようにあることがわかる。 また、ガードを支える部分が BB にハメるものなので、はからずもチェーンを内側に落とすことのないようになったのもラッキーだ。 
シートの後ろに広大な空間がある。 ここは荷物を積めるともいえるし、塞がないとカルマン渦とかできて空気抵抗が生まれそうだ。 何か対策を打ちたい。 
ブレーキレバーは普通の人差し指と中指でかけられるタイプね。 ただ、横に張りだしていてかけにくいのと、横幅がギリギリなので、後で調整した。 
ブレーキレバーとシフターはこんな角度だったけど、あとでもっと内側に寄せた。 
左側、フロントのシフター(ラピッドファイアというらしい)で、親指でアウター方向、人差し指でインナー方向に変わる。 グリップシフトも発注したけど、これが気に入ったのと、何度か乗っていて、ハンドルに力を入れるとふらつく(特に力を入れたとき)ので、いまのところグリップシフトは不採用。 


フロントフォークが貫通して上に抜けてきている辺り。  HC WORKS さんにこれも買った方がいいよと言われた BFT という部品だと思う。 

( 2020/01/18 追記)ブルべの一週間前に hig さんから「 BFT が逆さま?」という指摘があった。 マニュアルと比較し、いったん外してよく見て構造を理解したら、 BFT にねじ込み部品があって、それが本来上からねじ込むものが下からねじ込まれていたということで、 HC WORKS さんの言わんとしていることがやっと理解できた。 組まれた状態をみないとわからないあたり、当方の想像力の貧困さが悲しい。 まぁ、とにかく本番前にわかってよかったとも言える。 下の写真が修整した写真だ。 お二方には感謝の念が尽きない。 

フロントフォークの上の継手付近。 確認していないが、ハンドルの高さを変えられるのではないかな。 
ハンドルステム付近。 この辺は径が合えば、普通の自転車のステムが使えると思う。 
見づらいが、下引きブレーキで、確かにしたから引っ張ってる。 聞いてみたら、あまり普通ではなく、マウンテンとかの一部にあるくらいらしい。 台座があれば V ブレーキがイケるんじゃないかと思った。 ホントは Dura-Ace のガッツリ効くヤツを考えていたが、下引きブレーキがないのであきらめた。 
後輪側は特に問題がないので、 Dura-Ace のキャリパーブレーキを使った。 ロードではあまりによく効くのでビビりながら使っているが、リカンベントだとどうだろうね。 
後輪ハブ取付部付近左側。 愛用している Powertap Gen2 だ。 見づらいと思うがカーボン部品の内側に金属部分でエンド金具といっていいかな、そういうのがついているが、少しだけ内側にまで盛り上がってる。 
後輪ハブ取付部付近右側。 乗っていて自分でもよくわかんないがチタン製のギアカセットだ。 左側と同じく 2.5mm ほど内側に盛り上がっているディレイラーハンガーだ。 
金属エンドの両盛り上がり部がよく見える後輪ハブ付近の写真。 
シート後ろ。 もうね、このスペースを生かさないのは犯罪だよと思うくらい空いている。 
シートが蝶ネジで留められていることがわかる写真だ。 
シートね。 そのまま座ってもいいけど、一応スポンジをつけてクッションとしている。 
クッションスポンジは大体だが、長さが 55cm で横幅 25cm くらいだ。 目の粗いスポンジで、 2,3 年で風化しそうな気がする。 左隣は会社に落ちていた緩衝材で、シートスポンジが風化したら、切って使えるかなと、もらってきた。 現在のシートスポンジ二個分の大きさがある。 シートスポンジよりも圧倒的に通気性が悪そう(笑)で少し硬い。 
クッションスポンジと会社で拾った緩衝材の厚み比較ね。 当方のハラの脂肪の厚みは見えないハズだ。 だいたい同じくらいの厚みだが、緩衝材のほうが少しだけ分厚い
長さは約 189cm だ。 写真ではどっちが前に出っ張るかわかりにくいが、ペダル前端よりも前輪ホイール端のほうが前に出ている。 
横幅はギリギリ 60cm 弱で、左右のブレーキレバーの角度を使いやすいように修正したら幅は 56cm くらいになった

■ 調整と艤装

さて、自転車に初めて乗ったときのことを覚えているだろうか。  当方は、残念ながらよく覚えていない。  しかし、自転車に乗れない大人に、自転車(ママチャリ)の乗り方教えたときのことは覚えている。 

そう、リカンベント自転車に乗ってみて、自転車に乗れなかった人が乗れるようになる練習をしている気になったのだ。  どういうことかというと、まず漕ぎだしには一大決心が必要だ。  今は普通の自転車なら、サドルにまたがった瞬間、いやまたがらなくてもペダルに片足が乗れば進み始めて自転車に乗れる。  それに、自転車に乗り始めの最初期には行きたい方向と違う方向に進んだりするのだ(笑  まぁ、とにかく坂道発進は大変だし、決心も必要だし、行きたい方向でない方向へ進むこともある。  練習が必要だ。  こんな感じを思い出した。  まさに初心に還るって感じかな。 

練習に選んだのは墓参りコースだ。  今住んでいるところから、自転車で墓参りに行くのは往復約 66km ほどだ。  早朝の人通りの少ない時間帯、ハッキリ言えば暗いうちに出て、墓で明るくなって、帰ってくるという具合だ。  ウチの近所はだいたい平地で、海岸まで出たら、東向きに広い国道を通り、江の島そばを通過して、鎌倉・逗子を越えて、葉山に入ると細かいアップダウンがでてくるが、御用邸の前をそのまま進み、自衛隊の武山駐屯地前の丁字路を曲がって、さらに一騎塚を曲がって、さらに細い道に入ると坂がきつくなる。  普通の自転車でも軽いギアにして、立ち漕ぎして登りたくなるような傾斜のところがある(実際にはシッティングでノソノソ登る)ので、そこをリカンベント自転車で越えられるならブルべでも押さずに完走が見えてくる。  で、まぁ行ったわ。 墓場に入るところ(急坂)はさすがに押した。  不謹慎な当方は墓場に入る急坂(たぶん 20% 超)を、いつもはシクロクロス自転車で、チャレンジだと思って立ち漕ぎでムリヤリ登ってる。 

その後、休みのたびにすこしセッティングを変えて、墓参りという感じで、三回ほど墓参りをしてテストした。  なお、出発の時間を間違って一時間早くでたら、暗いうちに墓に着いちゃったよ。  ちなみに、墓に行って、線香あげて、手を合わせて、ちょっと休憩するだけで、掃除も何もしてない。  暗い中で線香をあげているってのも怪しいが、バチはあたらんだろう。 

下の写真は 2019/11/30 での状態だ。  主にいじったのはハンドル周り。  スピードメーターやパワーメーターのロガー、ボトルホルダー、あるいは前照灯などだ。  あと、シートを限界まで立てた。  が、まだ後ろに寝た状態なので、首が痛い。  ヘッドレストをつけるか背中に詰め物をするかどちらかが必要だろう。 
写真説明
ハンドルポストの前後にボトルケージをつけてみた。 手前側は水、前方側はツール缶。 ハンドルには後写鏡、スピードメータ(距離計)、パワータップのロガー( Edge520J )を取り付けた。 ブレーキレバーとシフトレバーは内側に移動した。 ブレーキレバーとシフトレバーを内側にしたことによって、幅がかなり狭くなって 55cm 程度になった。 
メジャーを当てたところのアップ。 
ミラーまで入れると 56cm ってところか。 
前照灯はフロントディレイラーを取り付けているところに取り付けた。 左のペダルクランクと前照灯との隙間は 2mm 程度しかない。 もう一本前照灯をつけたいのだが、右側はチェンリングがついているのでどうしたものか。 
限界まで立てたシート。 シートステイの長さが足りないのよ。 あと 5cm くらい欲しいわ(笑) しかし、この空間、カルマン渦というか負圧を生む感じ。 それと後輪にドロ除けをつけた。 シート裏に荷物を置いた時に後輪に触れたり、巻き込まれたりの危険性が減るんじゃないかという期待だ。 
結構デカくてジャマなので、スタンドを購入した。 大きいのでスタンドがグユングユンしているが、問題なさそうだ。 

■ 乗り方

リカンベント自転車の三輪は転ばないので例外で、またローレーサーは停まったときは手を地面につくらしいので、こちらも例外とし、ミッドレーサーからハイレーサーのような高いところに座っているモノについては確かに難しいだろうと思う。  二輪ならではのむずかしさが凝縮されているかもしれない。  まだ、計 4 回、260㎞ 程度しか乗っていないので、現時点でわかっていることをメモしておく。  比較は、今まで乗ってきた CX900 (シクロクロス自転車、ブルべもこれで出ていた、シクロクロスレースもこれで出ていた、ロードツーリングもこれで行った、現在も通勤で使っている)と、まだ二年ほどだがロード自転車(主にツーリング目的で、クイックなハンドリングと平地でガツガツ漕いで最高速を目的として、 50㎞ ~ 100㎞ 程度乗れれば良いという短距離用)の経験とを比較する。  なお、かつてはオートバイに乗っていたことがあって、主にスーパーカブ、2ダボ( '90 MC-22 )に乗っていた。  一応当時限定解除したので、二輪の大きさに制限はないし、二輪なら何でも乗れるハズ。 

当方、純日本人体型で胴長短足で腕も短い。  身長は 170cm に数ミリ足りないくらい。  リカンベント自転車で重要な X-Seam (靴を脱いだ状態で、壁~かかとの長さ) は 98cm ~ 99cm と短い。  どこかのページで当方よりも背の低い方が X-Seam が 106cm とか見たときは、ちょっと悲しかった。  反対に解釈すれば、当方よりも背が低くても、手足が長ければ同じリカンベント自転車に乗れるかもなのだ。 

またがった状態

あ、またがった状態になる前に、最初思うコトは「どう乗るの?」ってことだと思う。  ママチャリなら、脇からサドルに尻を乗せて、正面を向けば乗った側と反対のペダルに足を自然に置くことができる。  ロード自転車のようなハンドルポストとサドルポストの上の方に水平に近いパイプ(いわゆるトップチューブ)のあるタイプなら、反対側のペダルに足を乗せるために、脚を後ろに振り上げてサドルの上を通すわけだ。  しかし、コイツはどうするの?  シートは後ろにそそり立っているので、脚を後ろに振り上げても越えられる気はしないし、シートがフレームにくっついているわけなので、それがジャマだし、ハンドルもそれなりに高い場所にある。  今のところ、「どっこいしょ」とばかりに脚を持ち上げて、足をフレームの向こうへとおろすような感じで跨いでからシートに座っている。  ブルべの最後の方って、脚が重いから、果たしてできるんだろうかという疑念は残る。 

でも、ハンドルをもってフレームにまたがっちゃえば、「はい、両足がつけられますっ」てな感じ。  シートにやや深く座ってるとモモの角度からつま先立ちになる。  ハイレーサーであっても、フレームをまたがってしまえば足つき性は比較的良好だ。 

漕ぎだし

非常に決心が必要だったのが漕ぎだしだ。  現時点では、特定の場所にペダルがないと発進ができない。  ただ、ペダルが高いところであっても手で届く場所にあるので、容易に位置調整は可能だ。 

右足で漕ぎ始めている前提で考えてくれ。  具体的には車体を右から見たときに、右ペダルが時計の短針 11 時の辺りにないと発進がうまくできなかった。  手前にペダルを引きすぎて 10 時とかでは漕ぎ始められないためこれもダメだ。  12 時くらいでも発進ができるようになったが、実は右足だけが漕ぎだしに影響するわけでないことがわかった。  右足でペダルを前方に蹴りだした後、左足をペダルに乗せて前方に蹴りだすことができれば、走行に入れる。  これがわかれば、リカンベント自転車の発進は OK だ。 

まぁ、実際には低速だし、自転車乗りはじめの人を思い出してもらえばわかる通り、どこに進むかわからんのだが、右足の蹴りだしに続いて左足で蹴りだせれば、次のサイクルが見えてくるのだ。  だから、この文書をお読みの方で、リカンベント自転車のハイレーサーに乗るなら、右足で蹴りだすのも重要だが、左足をペダルに乗せて蹴りだすことを事前に考えておけば、きっと乗れる。 

巡行

漕ぎだしがうまく行けば、その後は巡行というか走行だ。  まぁ、クランクをクルクル回せば進む。  自転車たぁ、そういうモノだ。 

初めてのテスト走行の墓参りの時は SPD ペダルであるにも関わらず、クリートをハメなかった。  だって怖かったんだも~ん。 

しかし、二回目のテスト走行墓参りのときは勇気を出して、カチっとクリートをハメてみた。  そしたらね、ラクなの。  そう、足がペダルから落ちないように気を使っていたんだけど、その必要がなくなったわけ。  足を蹴りだして、途中で力を抜いても落っこちないもんね。  脚の重さを使ってクランクの踏み出し先で足をおろす動きにつながってるんじゃないかな。  とりあえず巡行に入ったなと思ったら靴をペダルに連結したほうが楽だ。 

曲がる

シクロクロス自転車に乗っていたせいか、シクロクロスレースに出たことがあるせいか、ブルべで走ってるせいか、当方の性格がそういうモノなのかはわからないが、当方は基本的にカーブを曲がってる最中もクランクは回している。  これが、クイックな挙動が身上のロード自転車だと小回りを利かせようとするとペダルが前方にあるときに、足と前輪が干渉するんだな。  転びそうになったことが何度かあったが、そういう時は脚を止めればよいと理解してロード自転車に乗るときは脚をとめるようになった。 

さて、ハイレーサーである CA 3.0 だが、二つの理由でカーブを曲がるときは脚を止める必要がある。  その1、ハンドルとモモが干渉する。  最初に体験するところだ。  その2、モモが干渉しないように漕ぐことができていても前輪とかかとが干渉するのだ。  最初はどこがあたってるかわからなかったが、下げた方のペダルにつけている足のかかとがあたっていた。 

まだハッキリと、リカンベント自転車のハイレーサー共通の特性なのか、 CA 3.0 固有の問題なのかはわからないが、普通の自転車に乗ってると、たいていはカーブを曲がるとき外側の脚をのばすだろう。  しかし、この自転車 CA3.0 の場合、ハンドルとモモが干渉するために内側になる側の脚を伸ばすということをしている。  普通の自転車から乗り換えると動きが反対だから、なかなか難しい。 

概ね、期待通りに組みあがって、走ってみてだが、登り坂もそれなりにこなせそうだ。  というのもテストに使っている墓参り走行の途中にはいつもの自転車では前 26T x 後 28T を使いたくなる登り坂もあり、そこも通過してみた。 

普通の自転車でいう立ち漕ぎ(ダンシングともいうらしいが、当方がやるとタコ踊りになるだろう)は自分の体重を使って登るが、リカンベント自転車ではそういうコトはできないので、すべて脚の力で漕ぐことになる。  それが登り坂に弱い原因だ。  ただ、前 26T x 後 34T を入れた当方のリリカンベント自転車ではそれほど長くないが結構な傾斜の登り坂も漕いで登ることができた。  たぶん、降りて押すことをしないで済むと思う。  速度が遅くなると、期待通りの方向へ進まないことが増えるのでそこは気をつけないといけない。  ハンドルである程度行きたい方向も決められるがモモが干渉するので、あまりハンドルを切ることはできない。  そこで、腹筋、外腹斜筋を使って自転車をコントロールすることでコントロール性が上がった気がする。 

下りは、比較的スムーズに走れるが、ある意味ちょっと怖い。  というのも、速度感が違う。  下り坂で 30km/h で下ると、コンナカンジというのがあると思うが、速度メータをみてビックリなくらいだ。  もっと遅いと思っていたので、知らないうちに限界を越えそうな気がする。  たとえばいつの間にか 50km/h とか出ていて、飛び出してくる車とかを避けるためのブレーキとかね、スリップしそうだ。  ただ、停まり切らないときに頭からでなく、足のほうから突っ込んでいくので、もしかすると被害は少ないかもとか思う。  そんな状況になりたくないが、現時点ではちょっと感覚が違うので、怖い気がする。 

ギア選択

忘れてならないのが、ギア選択だ。  チェーンラインが非常に長いので、いわゆるたすき掛け等は特に問題ない。  すなわち、前がインナーであっても後ろはローでもハイでも問題ないし、前がアウターであっても後ろはローでも問題がない。  そう、だから、これからずっと平地か下りになりそうなときはアウター(前の大きい歯車)を使い、これから登りになりそうなときはインナー(前の小さい歯車)を選んで、後ろで負荷を調整しながら走る感じだ。  サイクルハウスミカミに出入りしている人にこの話をしたら、「要するに三段変速で後ろで微調整でしょ」という、まさに的を射た要約をしてくれた。 

前のギアを軽いほうには左の人差し指で、カツカツと簡単に落とせるから、急に出現する登りでも、ある程度対応できる。  で、キツい登りも最小 0.764 の軽ーいギア比でヘコヘコ登っていくこと、……いや、いけることを期待している。 

あとはブルべでどれくらい、坂があるかという感じかな。 

停止

停止はさほど難しくない。  二点気をつければ問題はない。 

マズ、普通の自転車でもそうだが、クリートで靴をペダルと連結していることを忘れないようにしよう。  発進のことを考えて、ギア比を発進時のギア比にしておこう。  漕ぎだしが比較的ラクにになったときも使えるテクニックだと思う。 

取り扱い

ロード自転車はおそらく全長 165cm くらい、シクロクロス自転車のほうは全長 170cm くらいで、横幅はまぁ 45cm くらいだろうか。 

対して CA 3.0 は全長 189cm だ。  横幅は 56cm と普通の自転車よりも 10cm くらい幅広だ。  縦も横幅も長いよね。  当方のように宅内に保管していると玄関から室内に入って、前出のスタンドに立てかけることになる。  が、鴨居にあたるんだよ。  で、車体を前に傾けるときに、普通の自転車ならたぶんサドルを腹にあてて支えることができそうだが、シートが後ろに出っ張っていて、そんなこともできない。  ハンドリングはまだ慣れなくて、デカいという感じで、慣れながら学習していこうと思う。 

■ 法的扱いについて

実は上の方で、「普通の自転車」という書き方と「普通自転車」という二通りの表現をしている。  普通の自転車というのは、当方が想像するその辺にある自転車のことだ。  普通自転車というのは、法律で定まっている自転車のことだ。  街で見かける普通の自転車は普通自転車の範囲に入っている。 

しかし、当方、 CA3.0 を入手するまでリカンベント自転車など見たことはなかった。  当然、当方にとってはリカンベント自転車は普通の自転車ではないし、多くの人にとっても普通の自転車ではないと思う。 。  が、普通自転車の範囲にはいっていれば、法的にそのように扱われる。  それは、「自転車通行可」の道路標識がある歩道で走行が可能であることだ。  ブルべで、マレに歩道を通過するところがある。  その時に、普通自転車でない場合は、車道を走るか、降りて押さないといけないのだ。  写真の説明のところで長さを測っているが、その辺に関係するのだった。  この辺、二輪ローレーサーだと長さが、三輪リカンベント自転車だと幅が問題になりそうだ。  下に再掲しつつ条件をまとめておこう。 

 法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。 
   一  車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。 
     イ  長さ  百九十センチメートル
     ロ  幅  六十センチメートル
   二  車体の構造は、次に掲げるものであること。 
     イ  側車を付していないこと。 
     ロ  一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。 )を備えていないこと。 
     ハ  制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。 
     ニ  歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。 

設計者( Rich Pinto 氏? )があえてギリギリを狙ったのかわからないが、少なくとも日本の法令でいう普通自転車におさまるサイズである。  上に引用した普通自転車の条件を受けて、下の表をもって問題ないと考えている。 
法令の該当部写真CA3.0 の該当部写真

一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。 
   イ 長さ 百九十センチメートル

--

二 車体の構造は、次に掲げるものであること。 
   イ 側車を付していないこと。 
   ロ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。 )を備えていないこと。 

長さは約 189cm だ。 写真ではどっちが前に出っ張るかわかりにくいが、ペダル前端よりも前輪ホイール端のほうが前に出ている。 補助輪もついてないし、一人乗りだから問題ないね。 
一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。 
   ロ 幅 六十センチメートル

ミラーまで入れても 56cm だ。 
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。 
   ハ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。 
ブレーキレバー端までで 55cm で、ブレーキはかけやすい配置になっている。 ってか、そうなってないと怖いわ。 
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。 
   ニ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。 

歩行者保護のためのカバーですな。 いや実際ギザギザなチェンリングな歯車が突出していたら怖いわな。 

■ 結びに

リカンベント自転車に乗ったこともないどころか、乗っている人を見たことのない当方がいきなりフレームだけ買って組むという暴挙(笑)。  まさに無謀ともいえる。  が、一応二輪なら何でも乗れる免許を持っているし、乗ってる人はそれなりいるということは、当方にだって乗れないハズがないという理由で導入してみた。 

当方、肌が弱くて、尻の皮がむけたりしてるわけだが、もしかして褥瘡ができやすい体質だったりするかも。  大きなシートで広い面積、背中の皮までムケたりするかもしれないが、テスト走行な墓参りの 66㎞ を走って、そのダメージの小ささには驚いた。  間に合うかどうかはわからないが、ブルべの 200㎞ は走り切れると思う。 で、 200㎞ のブルべに出れば 600㎞ 走れるかわかると思う。  もし、日本でブルべ参加者でリカンベント自転車のハイレーサーが当方のせいで流行ったら、情報の共有などができ、さらには集合知ができると、いつか当方の利益(なにか嬉しい事)につながるかもしれない。  ここまで読んでくれたなら、検討してみてくれ。 

こういうのは、どうなってる?とか、アレはどうか?みたいな質問等もあれば考えてみたい。 

hig さんに直接恩返しはできないが、リカンベント自転車乗りが増えて、従前からのリカンベント自転車乗りの利益につながればと願う。 

公開したら、さっそく「で、総額でいくらくらいになったんだ?」というツッコミが入ったので、差し支えない程度に公表だ。 今回かかった総額(税込み・送料込み・組み立て工賃込み、買ったけど使ってない部品アリ)はだいたい 54 万円だ。 大きいところで、前輪と後輪(パワータップ)は、もともと持っていたアリモノを持ち込んだため入っていない。 CA3.0 の完成車の漕ぎだし予想価格が日本への輸送費や手数料を除いて、ざっと 52 万円強。 それに対して、当方が自分のために変更したカスタム自転車だから、そう悪くないというか、各社さんはぼったくりな商売をしているわけじゃないということがわかるだろう。 あえて言うなら、当方のコンポーネントは SORA だから高くはない。 もし、 SORA じゃなくて、上位グレードのコンポーネントを使うならそれなりに高くなると思う。 当方が求めるワイドレンジを得られるのが SORA だったから、コレを選定した。  ある意味お安いコンポーネントが最もワイドレンジをカバーするってのはラッキーだった。 

その後、自転車のロゴの「 Bacchetta 」はどう読むのだ?という質問をいただいた。  いろいろ説があるようだ(笑  ある人は「バ チェ タ」、ある人はイタリア語なら「バーケータ」、ある人は『アメリカ人は「バシェッタ」という』、こどもが「バック アッチャ」と呼んだとか。 好きに読んで良いのではないだろうか。  というか、メーカーに誰も聞いてないのだろうか。  ちなみに、 Bacchetta のホームページには FAQ としてそのものズバリな回答があったことがあるらしいが、現在は Not Found となっていて、よくわからん。  こっちの議論も読んだが、ハッキリしない。  意味は「 stick 」すなわち、棒だな。  当方が箱を開けて持った感想そのものだ。  で、当方の場合だが、頭の中では「バッチェッタ」と読んでいる。  参考になれば幸いだ。 

( 2020/01/18 追記) web ページがリニューアルしていて、 faq のページも Frequently Asked Questions; Bikes and Trikes としてリニューアルしていた。 そこの六番目に「 How did you come up with the name “Bacchetta” and how is it pronounced? 」という質問がある。 それによれば日本語風発音では「バケッタ」がよさそうだ。 バシェッタもありかもだけど、イタリア語のハード K を使ってくれということだ。

思いつくところを追加してみたいと思う。  意見・感想・質問も歓迎だ。  連絡先はトップページの下のほうに書いたのでヨロシク。 


ほかのジャンルを見てみる | サイトマップ

〜免責〜

beacon

当方(SHIBATA Akira)は, 本サイトをご利用の際に起きるかもしれない不利益に対し, 一切責任を負いません.